英語が「速すぎて追いつけない」と感じるとき、相手が本当に速く話しているとは限りません。日本語と英語でリズムの作り方そのものが違うことが原因です。
日本語は「音の数」、英語は「強い音の数」で時間が決まる
日本語は、ひらがな1文字がほぼ同じ長さを持ちます。「かいぎをはじめる」は8拍で、どの音も平等です。
英語は違います。意味の中心になる語(名詞・動詞・形容詞)だけを強く長く読み、それ以外(前置詞・冠詞・助動詞・代名詞)は弱く短く、強い音と強い音の間に詰め込まれます。上の図のとおり、強い音の間隔はほぼ一定に保たれるため、間に入る語が多いほど、その部分は速く圧縮されることになります。
つまり、聞き取れない箇所は「速い部分」ではなく「弱く圧縮された部分」です。そしてそこには、文の意味を支える前置詞や冠詞が入っています。
Let's get the ball rolling on this project.
強く読まれる語と、弱く読まれる語
| 強く読む(内容語) | 弱く読む(機能語) |
|---|---|
| 名詞 meeting, budget | 冠詞 a, an, the |
| 動詞 call, send | 前置詞 to, for, of, at |
| 形容詞 busy, clear | 助動詞 can, will, have |
| 副詞 quickly, really | 代名詞 I, you, it, them |
| 疑問詞 what, when | 接続詞 and, but, that |
注意したいのは、機能語が「聞こえない」のではなく「弱く発音されている」点です。for は「フォー」ではなく「ファ」程度、and は「ン」に近い音になります。この弱い形(弱形)を音として知らないと、存在ごと消えたように感じます。
強く読む位置が変わると意味が変わる
リズムは意味も運びます。同じ文でも、どこを強く読むかで伝わる内容が変わります。
強調I didn't say he took it. → 言ったのは私ではない
強調I didn't say he took it. → 取ったのは彼ではない
強調I didn't say he took it. → 取ったとは言っていない
ネイティブは強勢の位置で話し手の意図を聞き取ります。逆に言えば、強く読まれた語だけ拾えば、文の骨格はつかめます。全部を均等に聞こうとするから間に合わないのであって、強い音に意識を集中させる方が理解は速くなります。
練習のしかた
ディクテーションで書き取るとき、聞こえた強い音だけを先に書き出し、あとから間を埋めていく方法が有効です。LET'S ... ROLL ... PROJECT と骨格を押さえてから、get the ball ing on this を埋めます。文全体を頭から順に取ろうとするより、はるかに速く正確になります。
なお、強勢と強勢の間隔が完全に等間隔かどうかは言語学でも議論がありますが、学習の指針としては「強い音を拾い、弱い音は圧縮されると想定する」という捉え方が実用的です。